・・・〔『日本』明治三十二年三月三十日〕 曙覧が客観的景象を詠ずるは、新材料を入れたることにおいて、新趣味を捉えしことにおいて、『万葉』より一歩を進めたるとともに、新言語新句法を用いしことにおいて、一般歌人よりは自在に言いこなすことを・・・ 正岡子規 「曙覧の歌」
・・・この間に立ちて形式の簡単なる俳句はかえって和歌よりも複雑なる意匠を現わさんとして漢語を借り来たり佶屈なる直訳的句法をさえ用いたりしも、そは一時の現象たるにとどまり、古池の句はついに俳句の本尊として崇拝せらるるに至れり。古池の句は足引の山鳥の・・・ 正岡子規 「俳人蕪村」
・・・格堂の句は旨い事は実に旨いものであるが、その句法が一本筋であるだけにいくらか変化に乏しい処がある。 このほか鳴雪、四方太、紅緑、等諸氏の句については近来見る処が少ないのでわざと評を省いて置く。〔『ホトトギス』第五巻第八号 明治3・・・ 正岡子規 「病牀苦語」
出典:青空文庫