・・・そのところに彼の文芸史家としてのフェータルなものがひそんでいる。この。ドストイェフスキーのロシア主義の分析こそ、ツワイクを活かすか死なしたかのポイントにふれている。○しかしこの場合ロシアとはいかなるものであるか。 ここでも ・・・ 宮本百合子 「ツワイク「三人の巨匠」」
・・・とが Leroux なんぞと一しょになって、共産主義の宣伝をしても、Freiligrath, Herwegh, Gutzkow の三人が Marx と一しょになって、社会主義の雑誌に物を書いても、文芸史家は作品の価値を害するとは認めない。・・・ 森鴎外 「沈黙の塔」
・・・また彼は美術史家のように、ただ古美術の遺品をのみ目ざして旅行するのでもない。彼は美しいものには何ものにも直ちに心を開く自由な旅行者として、たとえば異郷の舗道、停車場の物売り場、肉饅頭、焙鶏、星影、蜜柑、車中の外国人、楡の疎林、平遠蒼茫たる地・・・ 和辻哲郎 「享楽人」
出典:青空文庫