・・・日本人は画の理解があればあるほど狩野派とか四条派とか南宗とか北宗とかの在来の各派の画風に規矩され、雪舟とか光琳とか文晁とか容斎とかいう昔しの巨匠の作に泥んだ眼で杓子定規に鑑賞するから、偶々芸術上のハイブリッドを発見しても容易に芸術的価値を与・・・ 内田魯庵 「淡島椿岳」
・・・ 故に、各派の芸術が主張する、主義、態度、即ち人生の批評に関しては容易に善悪を判ずることが出来ないばかりか、何人と雖も、少くも既に主義となって形成せられた現在の文芸の主義に対して、根本的に其の主義の善悪を言うことは間違っている。其の批評・・・ 小川未明 「若き姿の文芸」
・・・戦争犯罪によって頭株をとられた進歩党が、築地の待合に共産党をのぞく各派の主だつ婦人たちをよんで、出席した者に、進歩党内の重要なポストを与える談合を行った。生産面における勤労階級の婦人の永年に亙る犠牲によって、日本の婦人参政権はもたらされたも・・・ 宮本百合子 「逆立ちの公・私」
出典:青空文庫