・・・だからそう云う史料は始めから否定している僕にとっては、折角の君の名論も、徹頭徹尾ノンセンスと云うよりほかはない。まあ待ち給え。それは君はそう云う史料の正確な事を、いろいろの方面から弁護する事が出来るでしょう。しかし僕はあらゆる弁護を超越した・・・ 芥川竜之介 「西郷隆盛」
・・・なにゆえにつまらないかというに、アノ雑誌のなかに名論卓説がないからつまらないというのではありません。アノ雑誌のつまらないわけは、青年が青年らしくないことを書くからです。青年が学者の真似をして、つまらない議論をアッチからも引き抜き、コッチから・・・ 内村鑑三 「後世への最大遺物」
・・・「イヤ至極面白いんだ、何かの話の具合で我々の人生観を話すことになってね、まア聴いて居給え名論卓説、滾々として尽きずだから」「ナニ最早大概吐き尽したんですよ、貴様は我々俗物党と違がって真物なんだから、幸貴様のを聞きましょう、ね諸君!」・・・ 国木田独歩 「牛肉と馬鈴薯」
・・・実に名論だ。文章も実に珍無類だ。実に面白い。」トルコの地学博士はその肥った顔を、まるで張り裂けるようにして笑いました。みんなも笑いました。とにかくみんな寝巻をぬいで、下に降りて、口を漱いだり顔を洗ったりしました。 それから私たちは、簡単・・・ 宮沢賢治 「ビジテリアン大祭」
出典:青空文庫