・・・風の激しく寒い日 二十五日 電話で、ワーレスロッジに行くことを告げる。 二十六日 夜電話にて話す 二十七日 帰紐、夜逢って、リバーサイドを歩く。 二十八日 此日Aは始めてセミナーから Avery に来る。此頃自分はア・・・ 宮本百合子 「「黄銅時代」創作メモ」
・・・ それが不可能であったということには、一九四九年において批評家自身、社会的問題と文学的問題とを統一的に把握しきらなかったという事実を告げることであると思う。 中野好夫は『新日本文学』十二月号に、一九四九年を次のように回顧している。・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・は、一人の女性の生存力が、小さい子供の生きぬく力とともにこのように発揮され、このような方向に煉磨されなければならなかったことは、まったく軍国主義の犯した一つの犯罪であるという歴史の事実をわたしたちに告げる一つの物語である。著者にそれを自省す・・・ 宮本百合子 「ことの真実」
どんな育児の本も、必ずとり落しなく触れている一つのことがあります。それは幼い子供たちが次第次第に智慧づいて来たとき、心の目醒めを告げる暁の声としてきっと、「それは、なあぜ?」「どうしてそうなの?」と熱心に答えを求める。これ・・・ 宮本百合子 「最初の問い」
・・・或る種の作家のもちのよさが、こんにち証明されるとしたらそれは日本の人民の生活と文学とに対して、何を告げるものだろうか。 二 匿名批評家にアトムA・B・Cとあり、小原壮助という一つの獅子頭を三人のひとがかぶっ・・・ 宮本百合子 「しかし昔にはかえらない」
・・・もし人間に無条件に通じ合う愛というものがあり得るなら、こうやって初冬の晴れた大空を劈いて休戦を告げる数百千の汽笛が鳴り渡るとき、どうして人々は敗けて、而も愛するものを喪った人々の思いを察しようとしないのだろう。歓呼のうちに自分の声も合せなが・・・ 宮本百合子 「時代と人々」
・・・といったことは、日本人の真情を告げるものであるとして内外からうけとられている。 日本の憲法の精神は、永世中立でなければ実現できないのは実際である。一家が詐欺にかかりそうになったとき、それをふせいだ母の機転、娘のかしこさがほめられるなら、・・・ 宮本百合子 「しようがない、だろうか?」
・・・私達の今日の常識でいえば、非常に大事なハンカチーフをなくした場合は、貴方からいただいたハンカチーフをなくしました、どうか一緒に探して下さいと告げると思う。見つからなくて、非常に叱られたとしても、そのことによって自分の愛情が変っていないこと、・・・ 宮本百合子 「女性の歴史」
・・・夫人の現在の悲劇は恐らく玄人仲間でそれをありのまま彼女に告げるものがないであろう彼女の地位にある。 あの頃と今日『文芸』の八月号に除村吉太郎氏を中心に現在のソヴェト同盟の文学と作家生活とを語る座談会記事がある。・・・ 宮本百合子 「近頃の話題」
・・・桂屋の家族は、再び西奉行所に呼び出されて、父に別れを告げることができた。大嘗会というのは、貞享四年に東山天皇の盛儀があってから、桂屋太郎兵衛の事を書いた高札の立った元文三年十一月二十三日の直前、同じ月の十九日に五十一年目に、桜町天皇が挙行し・・・ 森鴎外 「最後の一句」
出典:青空文庫