・・・ シナリオを書くのも随分根気よく保育所の毎日の生活を一緒に経験しつつ、作られて行ったときいている。 勤労の生活をしている両親の子供たちを、保育する仕事をとおして、母親の再教育へという保育所の成果を、ありのままの瞬間の中にとらえて物語・・・ 宮本百合子 「「保姆」の印象」
・・・そういう婦人を働かせるために、かねてから託児所や保育所の設備を持っていた工場は実に少い。急に女子労務者が激増しても、その条件にふさわしい便所、食堂、更衣室その他の設備を整えることについて、政府はちっとも工場主を監督し激励するところがなかった・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・この后の苦難と、首なき母親の哺育ということが、この物語のヤマなのである。王子は四歳まで育って、母后の兄である祇園精舎の聖人の手に渡り、七歳の時大王の前に連れ出されて、一切の経過を明らかにした。大王は即日太子に位を譲った。新王は十五歳の時に、・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
出典:青空文庫