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・・・ おみちは朝から畑にあるもので食べられるものを集めていろいろに取り合せてみた。嘉吉は朝いつもの時刻に眼をさましてから寝そべったまま煙草を二、三服ふかしてまたすうすう眠ってしまった。 この一年に二日しかない恐らくは太陽からも許されそう・・・
宮沢賢治
「十六日」
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・・・正長、永享の土一揆は彼の三十歳近いころの出来事であり、嘉吉の土一揆、民衆の強要による一国平均の沙汰は、彼の三十九歳の時のことで、民衆の運動は彼の熟知していたところであるが、彼にとってはそれはただ悲しむべき秩序の破壊にすぎなかったであろう。今・・・
和辻哲郎
「埋もれた日本」