・・・世界じゅうの大きな出来事、日本国内の重要な現象、そういうもののニュースを見るよりも前にまずこの商品の広告が自然にわれわれの眼前に現われて来るのである。 自分の知る範囲での外国の新聞で、こういう第一ページをもったものは思い出すことができな・・・ 寺田寅彦 「読書の今昔」
・・・又国内思想指導の方針としては、較もすれば党派的に陥る全体主義ではなくして、何処までも公明正大なる君民一体、万民翼賛の皇道でなければならない。 以上は私が国策研究会の求に応じて、世界新秩序の問題について話した所の趣旨である。各国家・・・ 西田幾多郎 「世界新秩序の原理」
・・・改進は上流にはじまりて下流に及ぼすものなれば、今の日本国内において改進を悦ぶ者は上流の一方にありて、下流の一方は未だこれに達すること能わず。すなわち廃藩置県を悦ばざる者なり、法律改定を好まざる者なり、新聞の発行を嫌う者なり、商売工業の変化を・・・ 福沢諭吉 「学者安心論」
・・・方今の有様にては、読書家も少なく翻訳書もはなはだ乏しければ、国内一般に風化を及ぼすは、三、五年の事業にあらず、ただ人力をつくして時を待つのみ。一、学校を設くるに公私両用の別あり。その得失、左の如し。一、官に学校を立つれば、金穀に・・・ 福沢諭吉 「学校の説」
・・・一国内形体の安全を求めて、国外の安全に愉快を覚ゆるの精神に乏しき者なり。すなわち国の教育の未だ上達せざるものといいて可なり。 福沢諭吉 「教育の目的」
・・・ しからばすなわち、爾後日本国内において、事物の順序を弁じ、一身の徳を脩め、家族の間を睦じくせしむる者も、この子女ならん。世の風俗を美にして、政府の法を行われ易からしむる者も、この子女ならん。工を勤め商を勧め、世間一般の富をいたすものも・・・ 福沢諭吉 「京都学校の記」
・・・この事情は、国内的には人民の生活に重すぎる税となって重荷を加え、婦人子供の辛苦はひとしお深まってきていることを意味します。失業はふえ、生活費は高くなり、生活の安定は社会の全面でくずれかかってきています。 日本の状態は、日本のわたしたちの・・・ 宮本百合子 「新しいアジアのために」
・・・満州侵略に着手した田中義一の内閣に外交官であった吉田茂が、この減刑運動を、国内の民主勢力にたいする一つの均衡物として利用しようとするなら、それは一つの国際的な民主主義にたいする罪悪であるとおもう。 三 こう・・・ 宮本百合子 「新しい潮」
・・・そういう心でよんでみれば、古典から現代作家の、国内国外のあらゆる作家が、それぞれに見事な業績をのこしながらも、ほんとに自分の云いたいこと、あらわしてみたい心、描きたい情景だけは、誰もかいていないことを見出して、どんなおどろきと、新しい世界の・・・ 宮本百合子 「新しい文学の誕生」
・・・という国内戦時代のコムソモールたちの感情、若さから誤謬は犯しながら雄々しく実践でそれを清算する働きぶりなどを歴史的に見た劇を上演している。ハバロフスクへ潜行運動にベザイスが、絵を描いた貨車にのっかって行く。その中途から頼まれてのせてやった娘・・・ 宮本百合子 「新しきシベリアを横切る」
出典:青空文庫