・・・私は七月のある朝、ドイツからソヴェト同盟へやって来たドイツの労働者見学団といっしょにホテルを出て、ドン国営煙草工場見学に出かけた。ロストフはウクライナ共和国の主都で、附近にはソヴェト第一の大国営農場「ギガント」があった。丁度素晴らしい「トラ・・・ 宮本百合子 「明るい工場」
・・・収穫物の取引は集団農場と国営の生産組合とが直接やるのであるから、だまされる心配をする必要がない。 その他に便利は沢山ある。 集団農場には托児所、共同食堂、クラブなどはつきものとなっている。 私は、来ていた人に、自分がソヴェト同盟・・・ 宮本百合子 「今にわれらも」
・・・広場を前にして、三階コンクリート建の国営デパートメントの大きい硝子窓がある。 木橋がある。下は鉄道線路だ。子供が四五人、木橋の段々に腰かけて遊んでいる。そこをよけて、仕事から引上げて来る労働者、交代に行く労働者。人通りは絶えない。 ・・・ 宮本百合子 「「鎌と鎚」工場の文学研究会」
・・・ わたしは、その夏、ウクライナの大国営農場「ギガント」を見学に行った。鉄道の沿線からはじまって、目もはるかな大農場は麦の波だ。そこを、ゆるゆる地平線に向って滑走中の飛行機のようなコンバインが進行している。 古貨車を利用してこしらえた・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・ ――どこでも今人が足りなくて騒いでるじゃないの、集団農場や国営農場へとられちゃって。職業紹介所は空っぽですよ。 ――事務員は払底しているんです。 ニッケル大湯沸のクランクからバケツへ熱湯を注ぎながら皿洗女は云った。 ――臨・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・ 辻馬車が、国営衣服裁縫所製のココア色レイン・コートを幾枚も束にして膝へ抱え込んでいる若者をのせてやって来た。まいたように人の姿が黒く広場の反対のはずれに現れ、いそがしそうに各方面に散らばった。広場の上ではひとりでに大きい星形を描いて通・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・ ソヴェト同盟では、集団農場・国営農場があって、機械化された農業が行われている。この一事は、ロシアのムジークを社会主義的生産の農業労働者にしたばかりではなかった。トラクターをのりこなす若者たちはタンクに苦労する必要がなかった。ソヴェト式・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・ソヴェトは、社会主義生産の技術を高めて、やがて、一台のトラクターも外国から買い込まないようにするために、今暫く、国営農場「ギガント」に、アメリカ人技師の指導をうけているのだと。「風呂」で、マヤコフスキーは大胆に、ソヴェトの建設事業に非同・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・ソヴェト同盟では、十四年来面倒な台所を、大仕掛の国営厨房工場というものに変えることをやって来た。 尤も、昔からロシア人は、日本人のように三度三度米の飯をたべたり、味噌汁をのんだりはしない習慣だ。工場労働者でも、農民でも、スターリンだって・・・ 宮本百合子 「ソヴェト労働者の解放された生活」
・・・新しいソヴェトがどんないい工場を持ってるか、集団農場、国営農場はどんなにやっているか、都会の工場からの代表が一大隊繰り出すのにもよく出逢う。 父親や兄が職場からそうして珍らしいところを見学しながら休む時、子供連は、ではどうしてるか?・・・ 宮本百合子 「ソヴェト労働者の夏休み」
出典:青空文庫