・・・ 私のような、頗る「国策型」で無い、無力の作家でも、満洲の現在の努力には、こっそり声援を送りたい気持なのです。私は、いい加減な嘘は、吐きません。それだけを、誇りにして生きている作家であります。私は、政治の事は、少しも存じませんが、けれど・・・ 太宰治 「三月三十日」
・・・ ペンクは名実共にゲハイムラートであって、時々カイザーから呼立てられてドイツの領土国策の枢機に参与していたようである。今日はカイザーに呼ばれているからと云ったような言葉を何遍も聞いたような記憶がある。 いつか海洋博物館での通俗講演会・・・ 寺田寅彦 「ベルリン大学(1909-1910)」
・・・ 以上は私が国策研究会の求に応じて、世界新秩序の問題について話した所の趣旨である。各国家民族が何処までも自己に即しながら、自己を越えて一つの世界を形成すると云うことは、各国家民族を否定するとか軽視するとかと云うことではない。逆に・・・ 西田幾多郎 「世界新秩序の原理」
・・・発案者の宇原重役の最初の考えでは、国策に沿うと同時に社員に安心して精励して貰うための、「会社の利益から打算しても、相当の予算を組んでやって決して損とならない一石二鳥の仕事である」と思われたのであった。然し、現実は複雑で、事に当って見ると、先・・・ 宮本百合子 「働く婦人」
・・・「お昼は栄養を考慮したお菜ですが近頃では国策に応じて代用食や節米料理が多いようです」とだけかかれている部分に、実際どんなものが食べられているかということが書かれたらよかったと思います。 生活に対するちゃんとした態度や女らしさというものの・・・ 宮本百合子 「ルポルタージュの読後感」
・・・みすみす大家に損をしろというようなことはなり立たないという厚生省のいわれたのは、大家にとって慈父の言であろうが、厘毛をあらそう小商人さえ配給員となって、三十五円、四十円の月給とりで国策にそおうという今日、家主も国家的任務を自覚させてもらうこ・・・ 宮本百合子 「私の感想」
出典:青空文庫