・・・民族共同体の運命に本能的な安危を感じない国際主義者は冷やかに静観してすまされる。共存同悲の大衆へのあわれみが肉体的な交感にまで現実化していない者は、いわゆる「助けせきこむ」気持が理解できないのである。 われわれは宗教家である日蓮が政治的・・・ 倉田百三 「学生と先哲」
・・・医者は生と、精神の課題に、弁護士は倫理と社会制度の問題に、軍人は民族と国際協同の問題に接触せずにはおられない。その最も適切の例証は、最近に結成せられた「産業技術連盟」の声明書である。それは純粋に専門的な技術家のみの結社であるが、技術は社会的・・・ 倉田百三 「学生と読書」
農民文学に対する、プロレタリア文学運動の陣営内における関心は、最近、次第にたかまってきている。日本プロレタリア作家同盟では、農民文学に対する特殊な研究会が持たれた。ハリコフでの国際革命作家拡大プレナムの決議は日本のプロレタ・・・ 黒島伝治 「農民文学の問題」
・・・「インタナショナルとは、国際的乃至世界的団結、全世界的同盟という意味である。」ブハーリン監輯の「インタナショナル発展史」にはそう説明してある。 資本主義がすさまじい勢力を以て発展して、国際的威力として、プロレタリア階級に迫ってきた時、労・・・ 黒島伝治 「反戦文学論」
・・・から求められ得ないが、国際的な関係の現れとしての北支那海に於ける英仏独露の軍艦の浮游が報じられてある。独歩は、それについて何等の説明も附してはいないし、或は気がつかなかったかもしれないが、今日からかえり見て想像を附加すると、既に戦後の三国干・・・ 黒島伝治 「明治の戦争文学」
・・・The Yellow Book の故智にならい、ビアズレイに匹敵する天才画家を見つけ、これにどんどん挿画をかかせる。国際文化振興会なぞをたよらずに異国へわれらの芸術をわれらの手で知らせてやろう。資金として馬場が二百円、私が百円、そのうえほか・・・ 太宰治 「ダス・ゲマイネ」
・・・ それよりも困ったことには国語の相違ということが有声映画の国際的普遍性を妨げる。無声映画を「聞」いていた観客は、有声になったために聾になってしまった。 この困難を避けるにはできるだけ言語を節約するという方針が生まれる、そうして字幕と・・・ 寺田寅彦 「映画芸術」
・・・ 交通規則や国際間の盟約が履行されている間はまだまだ安心であろうが、そういうものが頼みにならない日がいつなんどき来るかもしれない。その日が来るとこれらの機械的鳥獣の自由な活動が始まるであろう。「太平洋爆撃隊」という映画がたいへんな人・・・ 寺田寅彦 「からすうりの花と蛾」
・・・ 交通規則や国際間の盟約が履行されている間はまだまだ安心であろうが、そういうものが頼みにならない日がいつ何時来るかもしれない。その日が来るとこれらの機械的鳥獣の自由な活動が始まるであろう。「太平洋爆撃隊」という映画が大変な人気を呼ん・・・ 寺田寅彦 「烏瓜の花と蛾」
・・・何事かと思って出てみると、国際電報によって昨年度と今年度のノーベル賞金の受賞者の名前の報知が届いた、その一人はアインシュタインで、もう一人はコーペンハーゲンのニールス・ボーアという人だそうだが、このボーアという人はいったいどんな人でどういう・・・ 寺田寅彦 「雑記(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
出典:青空文庫