・・・今のところでは俺の味方に廻って、壊しやの手先になって呉れる奴か、或は又逆に鉾を向けて、所謂文明の擁護をする奴か、一寸見分けがつかぬ。ミーダ ふうむ。武器を持っている。血相もどうやら変っている。何を彼那に狙っているのか。……やったな。驚い・・・ 宮本百合子 「対話」
・・・ 可愛ゆいと云っても、徒に贅沢な着物を着せるではなく、ちやほやするではなく、たとい転んで泣いても自分で起きさせ、自分で壊した玩具なら、自分でなおすなり、工夫してそれを巧く使えるようにするなり、何でも自発力で生活させようとする意識は、如何・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
・・・元子は切ったり毀したりは出来ねえ。Atom は atemnein で切れねえんだという。切れねえという間はその積りで遣っている。切れたって別に驚きゃあしねえ。切れるなら切れるで遣っている。同じ江戸子でも、己は兄きのような Fanatiker・・・ 森鴎外 「里芋の芽と不動の目」
・・・ 子供がおもちゃを持って遊んで、しばらくするときっとそれを壊して見ようとする。その物の背後に何物があるかと思う。おもちゃが動くおもちゃだと、それを動かす衝動の元を尋ねて見たくなるのである。子供は Physique より Mメタフィジック・・・ 森鴎外 「花子」
出典:青空文庫