・・・ とうとう夜になってしまった。夕御飯でもあるし、かぜをひくと大変だからといっておかあさんが無理にぼくたちを連れに来たので、ぼくと妹とはポチの頭をよくなでてやって家に帰った。 次の朝、目をさますと、ぼくは着物も着かえないでポチの所に行・・・ 有島武郎 「火事とポチ」
・・・ 真蔵は自分の書斎に引込み、炭問題も一段落着いたので、お徳とお清は大急で夕御飯の仕度に取掛った。 お徳はお源がどんな顔をして現われるかと内々待ていたが、平常も夕方には必然水を汲みに来るのが姿も見せないので不思議に思っていた。 日・・・ 国木田独歩 「竹の木戸」
・・・「ミーテンカ……夕御飯の仕度しようか?」「――いらない。」「お茶?……じゃあ。」「何も欲しくない。……はっきり云ったじゃないか!……どこもかしこもガラクタだらけだ。きたない……掃くひまもなかったのか? フ!」 ドミトリー・・・ 宮本百合子 「「インガ」」
出典:青空文庫