・・・そのお友達は、ふたいとこというのでしょうか、大叔父というのでしょうか、たいへんややこしく、それでも、たしかに血のつながりでございます。日本大学の夜学に通っています。電気技師になるとのお話で、もう二年経てば、私はこのお友達のところへお嫁にまい・・・ 太宰治 「虚構の春」
・・・ もう十年ほど前に亡くなった大伯父の一人っ子に男の子がある、十八で信二って云う。 大伯父が純宗教家でそう華々しい生活もして居なかったけれ共旧家だもんで今東京で相当に暮して居る。 千世子の家とはかなり親しいんで千・・・ 宮本百合子 「千世子(二)」
・・・ きょうのブルターニュのマーキの人々のひいじいさんや大伯父たちが、木菟党について知っており、又その子孫たちがこの物語をもっていることは、いいことだ。人民は、いかにおろかに祖国を愛したかについて学び、またいかに賢く祖国を愛し得るかについて・・・ 宮本百合子 「バルザックについてのノート」
出典:青空文庫