・・・それと関聯して、校庭にあった、あの一本の苛められた大杉の木が、傷ましい姿で、よく生を保ちつゝあった強い姿を忘れることができません。 また、村で、感冒が流行した時分にも、貧乏人の子供は、足袋も穿かず、木枯しの吹く中を薄着をして、少しも寒が・・・ 小川未明 「自分を鞭打つ感激より」
・・・けれども、この年の秋の関東地方の大震災につづく大杉栄、伊藤野枝、その甥である男の子供の虐殺。各地における朝鮮、中国労働者の虐殺。亀戸事件などは、人種的偏見と軍人・右翼の暴力に対する心からの憎悪をめざまさした。一九一八年ごろ日本におけるアイヌ・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第二巻)」
・・・ 九月二十四五日より大杉栄ほか二名が、甘粕大尉に殺された話やかましく新聞に現れた。福田戒厳令司令官が山梨に代ったのもこの理由であったのだ。他二名は誰か、又どうして殺したか、所持品などはどうされたか。 高津正道、佐野学、山川均菊栄・・・ 宮本百合子 「大正十二年九月一日よりの東京・横浜間大震火災についての記録」
出典:青空文庫