「女人芸術」という名をかえることには大いに賛成です。しかし、「女人大衆」というのは、どうでしょうか。「女人」という字は、もう数年前、日本でブルジョア女性解放運動が盛んだった時分、「女も人なり」という意味で新鮮さが感じられた言・・・ 宮本百合子 「「女人芸術」か「女人大衆」かの批判について」
・・・『女人芸術』その他協同主催の文芸講演会などでは、特に婦人委員会の社会的文学的意味が理解され、文学を愛する婦人のための激励となった。十月。「全日本無産者芸術団体協議会」は芸術団体の他に科学者、哲学者、教育者、社会医学関係の団体をも包括する・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・ かつて『女人芸術』が、全女性行進曲というものの歌詞を募集したとき、伊豆の大島の小学校の教師をしていた一人の若い女性が、当選した。それが松田解子であった。秋田の鉱山に生い立った彼女は、プロレタリア文学運動の時代、婦人作家として一定の成長・・・ 宮本百合子 「婦人作家」
前書 女人芸術の編輯部から一つのたのみをうけた。それは、十月号からずっと二三ヵ月つづけて、文学に関することを何か講座風に書いてくれというのだ。 その話をきいた時はもう締切り間もなく、おいそれと云っ・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
・・・これらの緊迫した仕事はどんなものであったかは、当時彼女を看護の天使、優しい「灯をかかげた女人」として世人が感動を示したのに対して、フロレンス自身洩らした言葉にもうかがわれる。看護という特殊な仕事は確に彼女に「おしつけられた役目の中で一番軽い・・・ 宮本百合子 「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」
・・・女は中宮定子の官女として宮廷生活をしていたのであったが、この中宮の生涯はあわれの深いところがあって、はじめの頃は華やかなあけくれで内外に大きな勢力もおよんでいたが、後には権力ある外戚藤原氏が奉った他の女人が当時の事情として自然重きをなして定・・・ 宮本百合子 「山の彼方は」
・・・四六書院より戯曲集『女人哀詞』を出版。『風』なお継続。三月末完結の予定。」その後、「女の一生」「真実一路」につづいて目下「路傍の石」が東西両朝日新聞に連載中である。 さて、この自伝の概略から、読者はどういう感銘を得るであろう。ここには、・・・ 宮本百合子 「山本有三氏の境地」
・・・物狂の女主人公達は、総て何かの意味で挫折した愛情の故に狂う哀れな女人であるし、幽霊となって現われる女達は、みんなこの世では果されなかった衷心の希望に惹かれて、再びこの世にそれを訴えようとして現われた人達である。 面白いのは、この時代の貴・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・新王は十五歳の時に、大王と聖人とを伴なって、女人の恐ろしい国を避け、飛車で日本国の熊野に飛んで来た。これが熊野三所の権現だというのである。 この物語では、女主人公の苦難や、首なくしてなおその乳房で嬰児を養っている痛ましい姿が、物語の焦点・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
出典:青空文庫