・・・何しろ出家に妄語はないと日頃から思いこんだ婆さんの事でございますから、これを聞いて肝を消しますまい事か、『成程そう承りますれば、どうやらあの辺の水の色が怪しいように見えますわいな。』で、まだ三月三日にもなりませんのに、法師を独り後に残して、・・・ 芥川竜之介 「竜」
・・・門外漢の妄語として御聞き捨てを願います。 寺田寅彦 「御返事(石原純君へ)」
・・・学校の内、きわめて清楚、壁に疵つくる者なく、座を汚す者なく、妄語せず、乱足せず、取締の法、ゆきとどかざるところなし。かつ学校の傍にその区内町会所の席を設け、町役人出張の場所となして、町用を弁ずるの傍に生徒の世話をも兼ぬるゆえ、いっそうの便利・・・ 福沢諭吉 「京都学校の記」
出典:青空文庫