・・・若し両親がどうあってもあなたの進もうとする道を妨げるのなら、顔を合わせぬ遠いところで勤めるのもいいでしょう。納得ずくでゆくときと行かぬ時とがある。いつでも納得ずくでなければことが決定されないとなると、ダラ幹式で或場合永久にわれらの主張の通り・・・ 宮本百合子 「「我らの誌上相談」」
・・・脆弱であった四肢には次第に充実した筋力が満ち男性は山野を馳け廻って狩もすれば、通路の安全を妨げる大岩も楽々揺がせるようになる。 女性は、いつかふくよかな胸と輝く瞳とを得、素朴な驚異の下に、新たな生命をこの地上に齎して来る。――毛皮を纏い・・・ 宮本百合子 「われを省みる」
・・・客がてんでに勝手な事を考えるのを妨げる力がない。 人も我もぼんやりしている処へ、世話人らしい男が来て、舟へ案内した。この船宿の桟橋ばかりに屋根船が五六艘着いている。それへ階上階下から人が出て乗り込む。中には友禅の赤い袖がちら附いて、「一・・・ 森鴎外 「百物語」
・・・ 学問の自由研究と芸術の自由発展とを妨げる国は栄えるはずがない。 森鴎外 「文芸の主義」
出典:青空文庫