・・・一九二六年「伸子」完結。「一太と母」「未開な風景」等。一九二七年「伸子」を単行本にする為に手入れをしながら「高台寺」「帆」「白い蚊帳」「街」「一本の花」等を書く。十二月初旬、湯浅芳子と共にソヴェト・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・もし漱石が「明暗」完結後まで生きていることが出来たとしたら、この恐ろしき矛盾、自我の分裂は、果して彼をどのように生かし得たであろうか。 芥川龍之介は、ブルジョア文学の背骨の中に漱石がのこして行った宿題を、その生涯で解いた作家であった。社・・・ 宮本百合子 「文学における今日の日本的なるもの」
・・・を作者はジュネヴィエヴの人間性のどのような発展において大きい社会的意義のある彼女の抗議を完結させるのであろうか。〔一九三七年一月〕 宮本百合子 「未開の花」
ロジェ・マルタン・デュ・ガールの「チボー家の人々」十一巻は、いまこそ、日本の読者のために、その翻訳を完結されなければならない。第七巻まで翻訳出版されたのが一九四〇年八月。兇悪な戦争が、訳者山内義雄氏と出版社白水社の仕事を阻・・・ 宮本百合子 「脈々として」
・・・三月末完結の予定。」その後、「女の一生」「真実一路」につづいて目下「路傍の石」が東西両朝日新聞に連載中である。 さて、この自伝の概略から、読者はどういう感銘を得るであろう。ここには、一人のなかなか人生にくい下る粘りをもった、負けじ魂のつ・・・ 宮本百合子 「山本有三氏の境地」
・・・昨年五月発病当時も母は例の旅日記の下書きを整理中であったが、遂にそれを自身の手で完結する事が出来ず長逝したのであった。母が幼年及び少女時代を過した築地向島時代の思い出には、明治開化期前後の東京生活が髣髴として興味ふかく初霜には若かりし父母の・・・ 宮本百合子 「葭の影にそえて」
・・・箱根の温泉宿で、これら二人の女に対蹠する気質の清子が現れたところで、私たちは作者の死とともに作品の発展と完結とを奪われたのである。「明暗」においても、漱石は女が結婚すると人間として悪くなる、少くとも素直でなくなり、品性がよくなくなるとい・・・ 宮本百合子 「歴史の落穂」
出典:青空文庫