・・・を 山精木魅威名を避く 犬村大角猶ほ遊人の話頭を記する有り 庚申山は閲す幾春秋 賢妻生きて灑ぐ熱心血 名父死して留む枯髑髏 早く猩奴名姓を冒すを知らば 応に犬子仇讐を拝する無かるべし 宝珠是れ長く埋没すべけん 夜々精光斗牛を・・・ 内田魯庵 「八犬伝談余」
・・・勝軍地蔵は日本製の地蔵で、身に甲冑を着け、軍馬に跨って、そして錫杖と宝珠とを持ち、後光輪を戴いているものである。如何にも日本武士的、鎌倉もしくは足利期的の仏であるが、地蔵十輪経に、この菩薩はあるいは阿索洛身を現わすとあるから、甲を被り馬に乗・・・ 幸田露伴 「魔法修行者」
・・・ 「これは貝の火という宝珠でございます。王さまのお言伝ではあなた様のお手入れしだいで、この珠はどんなにでも立派になると申します。どうかお納めをねがいます」 ホモイは笑って言いました。 「ひばりさん、僕はこんなものいりませんよ。持・・・ 宮沢賢治 「貝の火」
・・・「十力の大宝珠はある時黒い厩肥のしめりの中に埋もれます。それから木や草のからだの中で月光いろにふるい、青白いかすかな脈をうちます。それから人の子供の苹果の頬をかがやかします」 そしてみんながいっしょに叫びました。「十力の・・・ 宮沢賢治 「虹の絵具皿」
・・・ 崇福寺などと同様、この福済寺も朱塗で、大棟に鯱や宝珠のついた明風建築だが、崇福寺よりは規模も大きいし、見た目に幾分厳正な感じを与えられる。青蓮堂の軒に、紫檀を枠にした古風なぎやまん細工の大燈籠が吊並べてあるの等、地方色豊かだ。青蓮堂に・・・ 宮本百合子 「長崎の印象」
出典:青空文庫