・・・プラトンのように寓話的なもの、ショウペンハウエルのように形而上学的なもの、エレン・ケイのような人格主義的なもの、フロイドのように生理・心理学的なもの、スタンダールのように情緒的直観的のもの、コロンタイのように階級的社会主義的のもの、その他幾・・・ 倉田百三 「学生と生活」
・・・彼プロレタリア作家は暗い納戸で寓話化されたソヴェト同盟を幻想に描くよりさきに、三次の事件を想起すべきであった。しかし彼は村の神社の集りへ出て、鉈をふった平次郎は念頭においたが、三次が集りに来ているかいないかさえ問題にしていない。 同時に・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・文学サークルの一部に共産主義の文学は寓話になってゆくものだ、という考えかたも導き出されている。 人口の大部分が文盲である中国民衆がいきなりソヴェト社会に入ってゆく独特な社会・文化条件の下で趙樹理の作品がもつ意味は、日本の天皇制文化に加え・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・彼の書く寓話は地上のものではないようにさえ見えるのである。 けれども、其なら彼はその耽美の塔に立て籠って、夕栄の雲のような夢幻に陶酔していると云うのだろうか、私は単純に、夢の宮殿を捧げて仕舞えない心持がする。夢で美を見るのと、醒めて美を・・・ 宮本百合子 「最近悦ばれているものから」
出典:青空文庫