・・・ですから私の就学した塾なども矢張り其の古風の塾で、特に先生は別に収入の途が有って立派に生活して行かるる仁であったものですから、猶更寛大極まったものでした。紹介者に連れて行って貰って、些少の束修――金員でも品物でもを献納して、そして叩頭して御・・・ 幸田露伴 「学生時代」
・・・しかしアインシュタインは就学の自由を極端まで主張する方で、聴講資格のせせこましい制定を撤廃したいという意見らしい。演習なり実習なりである講義を理解する下地の出来たものは自由に入れてやって、普通学の素養などは強要しない。ことに彼の経験では有為・・・ 寺田寅彦 「アインシュタインの教育観」
・・・ わたくしはこのまま長く上海に留って、適当な学校を見つけて就学したいと思った。東京に帰ればやがて徴兵検査も受けなければならず。また高等学校にでも入学すれば柔術や何かをやらなければならない。わたくしにはそれが何よりもいやでならなかったので・・・ 永井荷風 「十九の秋」
・・・たとえば、各地方に令して就学適齢の人員を調査し、就学者の多寡をかぞえ、人口と就学者との割合を比例し、または諸学校の地位・履歴、その資本の出処・保存の方法を具申せしめ、時としては吏人を地方に派出して諸件を監督せしむる等、すべて学校の管理に関す・・・ 福沢諭吉 「学問の独立」
・・・時勢とも心付かずして、我が国人は教育の熱心自から禁ずること能わず、次第次第に高きを勉めて止まるを知らず、俗世界はいぜんとして卑く、教育法はますます高く、学校はあたかも塵俗外の仙境にして、この境内に閉居就学すること幾年なれば、その年月の長きほ・・・ 福沢諭吉 「慶応義塾学生諸氏に告ぐ」
・・・が、校舎の不足、教師予算の不足その他で、就学率は、理想通りには決して行かなかった。八歳でチャンと就学した児童は三〇パーセントだった。七〇パーセントはもっとおくれていた。ロシア共和国で四年制の児童六九・五パーセントは九歳で入学している。 ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・同じ年の三月に入学する児童の数と卒業してゆく子の数とを見くらべると、就学率こそ年々九九パーセントを示していても、卒業する少年少女は例年三十万から四十万減っている。卒業式の日に姿をみせなかったそれらの子供たちは、みんなどこかに働かされていて、・・・ 宮本百合子 「国民学校への過程」
・・・ たとえば、日本では百三十万の未就学児童があります。奴隷的大学法案が出されています。言論出版の自由というものはどうでしょうか。科学が一つの歴史的情熱となっているソヴェトと比べて、日本の科学はどんな扱いをうけているでしょう。知能労働者はこ・・・ 宮本百合子 「質問へのお答え」
・・・一九二六年の統計でもう古いがソヴェト同盟で四年制小学校における女児就学率を表で示すと同じソヴェト同盟内でもブルジョア・ロシア時代の被圧迫少数民族のところでは、共学率が低い。国語別 第一年 第四年・・・ 宮本百合子 「砂遊場からの同志」
・・・五ヵ年計画は、文化的事業の第一として、学齢児童全国就学を実施しようとしている。ソヴェト全同盟内の子供が国庫負担で四ヵ年の教育を受けることになるのだ。 革命前、ロシアの民衆の大半が文盲であったころプロレタリアートは彼等の鎖と汗とのほかに、・・・ 宮本百合子 「ソヴェト文壇の現状」
出典:青空文庫