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・・・とにかく、彼らは、一死を分として満足・幸福に感じて屠腹した。その満足・幸福の点においては、七十余歳の吉田忠左衛門も、十六歳の大石主税も、同じであった。その死の社会的価値もまた、寿夭の如何に関するところはないのである。 人生、死に所を得る・・・
幸徳秋水
「死刑の前」
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・・・りを克くし得たであろう歟、其中或は死よりも劣れる不幸の人、若くば醜辱の人を出すことなかったであろう歟、生死孰れが彼等の為めに幸福なりし歟、是れ問題である、兎に角、彼等は一死を分として満足・幸福に感じて屠腹した、其満足・幸福の点に於ては、七十・・・
幸徳秋水
「死生」