・・・私は社会党の右派でも左派でもなければ、共産党員でもない。芸術家というものだ。覚えて置き給え。不潔なごまかしが、何よりもきらいなんだ。どだい、あなたは、なめていやがる。そんな当りさわりの無い、いい加減な事を言って、所謂民衆をなだめ、納得させる・・・ 太宰治 「家庭の幸福」
・・・を、この左派同伴者詩人の作品で、どんな工合に実現して行ったろうか? 主題は、たしかにソヴェト大衆がその労働でそれとたたかって来た官僚主義との闘争だし、メイエルホリドの演出も、喜劇的な誇張に反撥しなければ幕から幕へ観てゆくに退屈はしない。・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・『読売新聞』は一貫して犯罪性を強調し、この裏に共産党ありと、あすにも犯人があがりそうに不安な雰囲気をかきたててきたが、今日の『読売』をみると一役すんだのだろう、国鉄中闘委員会左派十四名免職をトップに、あとは野球、囲碁へと注意を流している・・・ 宮本百合子 「犯人」
出典:青空文庫