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・・・ 彼が無言で涙組んで居るのを見ると、私には言葉には云えないでも彼の心はすっかり感じられる様になって二つの感傷的な心は、非常な調和と帰一を見出し得て居た。 もうじき死のうとして居た彼の心には種々の霊感、感激、暗示に満たされて居たのであ・・・
宮本百合子
「追憶」
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・・・近ごろ帰一協会などでは、それを子供のために悪いと言って気づかっている。 寒山詩が所々で活字本にして出されるので、私のうちの子供がその広告を読んで買ってもらいたいと言った。「それは漢字ばかりで書いた本で、お前にはまだ読めない」と言うと・・・
森鴎外
「寒山拾得縁起」