・・・いうと十一月の十日に御即位の御大礼が挙げられて、大阪の町々は夜ごと四ツ竹を持った踊りの群がくりだすという騒ぎ、町の景気も浮ついていたので、こんな日は夜店出しの書入れ時だと季節はずれの扇子に代った昭和四年度の暦や日めくりの店を谷町九丁目の夜店・・・ 織田作之助 「アド・バルーン」
・・・そうして当局者の好意で主要な高山における三角点の観測者の名前とその測量年度を表記したものを手にすることができた。しかし今ここでその表の一小部分でも載せることは紙面の制限上到底許されない。それでここではただ現在陸地測量部地形図の恩恵をこうむり・・・ 寺田寅彦 「地図をながめて」
・・・「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」は総括的にこの時期を展望している。プロレタリア文学運動の組織とその作家たちのうけた被害の姿を眺めて、居直ったブルジョア文学とその作家が、横光利一の「紋章」をかざして、一方に擡頭しつつあるファッシズ・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十巻)」
・・・ この二つの作品は一九四七年度の毎日出版文化賞をうけた。 一九四八年九月〔一九四八年十月〕 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第七巻)」
・・・あとの九年という歳月は、拘禁生活か、あるいは十三年度の一年半、十六年一月から治安維持法撤廃までの執筆禁止の長い期間にあたっている。 公衆の面前で、一定の人間を、これでもか、これでもか、というふうにあつかったことは、直接そういう目にあうも・・・ 宮本百合子 「ある回想から」
先達て「リビヤ白騎隊」というイタリー映画の試写を観る機会を得た。原作はフランスのジョセフ・ペイレのゴンクール受賞作品だそうで、ファッショ紀元十五年度のムッソリーニ賞杯獲得映画である。筋は単純なものである。クリスチアーナとい・・・ 宮本百合子 「イタリー芸術に在る一つの問題」
・・・ プロレタリア文化運動で組織問題の重要性が理解され、それが実践にうつされたことは一九三一年度における基本的発展であった。更に、そのプロレタリア文学組織としての発展を、組織の特殊性によって具体化するために創作活動旺盛化の課題が一九三二年の・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・小説をよむほどの若い人々はみんなよんで、一九四七年度の感銘された作品の一つとした。「凱旋門」のどの点に、こんにちの若い日本の精神をとらえた魅力の核があったのだろう。あの小説よかったわ、というひとたちに向って、いちいちその読後感のよりどころを・・・ 宮本百合子 「偽りのない文化を」
・・・とともに一九四七年度毎日文化賞をうけた。〔一九四九年二月〕 宮本百合子 「解説(『風知草』)」
・・・工場の文学研究会が、新経済年度のはじまりといっしょに、再組織されようとしているところだ。 七月の共産党大会後、ロシア・プロレタリア作家連盟は、一つの自己批判として、文学研究会指導方針を改めた。 革命以来、各工場、クラブ内の文学研究会・・・ 宮本百合子 「「鎌と鎚」工場の文学研究会」
出典:青空文庫