・・・――出来るだけ個人の経済負担の少い托児所、幼稚園、子供のための病院、療養所。憲法でいっているとおり、九年制義務教育の国家による保障さえ、実際には一つも行われていないとき、いまの社会事情のままでいわれる離婚の自由は、欺瞞的にきこえる。父親であ・・・ 宮本百合子 「離婚について」
・・・ 学生たちは、互に幼稚園時代から共学でやって来てる。一緒に働き、遊び、男の子たちは、女の子がヒステリーを起して卒倒するのから、学生大会で、雄弁をふるうのまで見てる。男の子が、どんなに確りしてると同時に妙な奴が時々あるか、女の学生だって知・・・ 宮本百合子 「ワーニカとターニャ」
・・・レーニンの三つくらいの時の愛らしい写真はソヴェト同盟の幼稚園の壁にかけられている。しかしゴーリキイは一枚も子供時代の写真をもっていない。つまり写真なんか撮ってもらわなかったそういう幼年・少年時代が伝記的な作品「幼年時代」「人々の中」「主人」・・・ 宮本百合子 「私の会ったゴーリキイ」
・・・ 其ばかりか、その附近には、幼稚園の中のように子供が沢山居た。 狭い庭を取繞いた板塀に添うて、石の段々が、下の長屋までついて居る。丁度学校が仕舞う頃に成ると、夕飯まで、もう一盛り騒ごうとする子供等が、十五人近くも、その石段の頂上、―・・・ 宮本百合子 「われらの家」
・・・ 女の幸福、子供の幸福のためには、例えば到るところに託児所がある。幼稚園がある。無料でごくヤスい金であずかってくれる。 大本教の兄さんが云われるように、何も女は子供のギセイとなんかならず。子供も母ももろともにのびのび生きて、正しく働・・・ 宮本百合子 「「我らの誌上相談」」
出典:青空文庫