・・・ 広津和郎の「懐疑に耐える精神の強靭性」の破たん そういう統一や調和が単純に見えるひとは、そのような統一や調和をもって 精神が立ち向わなくてはならない現代の地球的混沌の本質がわかっていないからにすぎない。 文学の課題はここにあ・・・ 宮本百合子 「ツワイク「三人の巨匠」」
・・・をかいた正木喜代子。広津桃子「窓」、関村つる子「別離」。環境的な重荷をもって出発してる由起しげ子、波瀾のうちに、どのような発展をすすめて行くだろう。 幸田露伴という文人の、博学であったが封建性を脱げなかった常識的達人の鋳型を、やわらかい・・・ 宮本百合子 「婦人作家」
・・・の作者広津柳浪は、当時の文学者としては西欧風の心理主義作家であったが、ある作品で売国奴・非国民と罵られてから、そういう日本の文化感覚に対して自分の書く文学は無いと、以来、絶筆してしまった。「外科室」をかいた鏡花がお化けの世界へ逃避してしまっ・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
出典:青空文庫