・・・いつぞや或る婦人のための雑誌で婦人と文化の問題についての座談会があった。文化的な仕事に才能を生きぬき、その向上のために献身するために、現在の日本の婦人はどんな社会的条件におかれていたかということが主として話題となった。日本では女のひとの立場・・・ 宮本百合子 「女の歴史」
・・・という事実にまで思い及んで。―― ところが、四月号の『中央公論』に「極東情勢の新展開と日本」という座談会記事がある。ニューヨーク・タイムズ東京支局長リンゼー・パロット氏、AP東京支局長ラッセル・ブラインズ氏に対して日本人として鈴木文史朗・・・ 宮本百合子 「鬼畜の言葉」
・・・去年、ある婦人雑誌が、専門学校を出て職業をもっている女性たちを集めて座談会をした。そのときやはり結婚問題が出た。そしたら、出席していた若い女性の一人が、自分には結婚というものがまだよくわからない。お友達にきいたらば、よい子供を生むために結婚・・・ 宮本百合子 「結婚論の性格」
・・・ 先日或る座談会でその話題にふれたとき、少くとも隣組の婦人たちの間では、婦人の参政権に対する興味の気ぶりさえも見られないということであった。「そんなことより食べることに忙しくて」と云う表現もきかれた。成程、そういう片づけかたをしている部・・・ 宮本百合子 「現実に立って」
・・・ 昨年十二月号『群像』の月評座談会で、林房雄は、宇野浩二の書いた「文学者御前会議」にふれ、宇野という作家の私小説的作家性をやっつけた。人も知る天皇主義者である林房雄は、宇野浩二というその人なりのリアリストが、その人なりのリアリズムで天皇・・・ 宮本百合子 「現代文学の広場」
・・・ 折々座談会などでそういう話題になったとき一番困惑するのは、現代の人間はまだ幸福というものをきわめて固定したものとして扱っているという点である。特に女のひとは、どういうものか幸福、不幸という二つの漠然とした、しかも抜くことのできない観念・・・ 宮本百合子 「幸福の感覚」
・・・文学座談会、文学講習会、文学サークル等の活動で、婦人委員会は作家同盟の各専門部門と緊密に結びつき、すべての機会を掴んで、組織的にプロレタリア文学活動へ職場の婦人大衆を導き出すための努力をやっている。 去る十二月の作家同盟拡大中央委員会で・・・ 宮本百合子 「国際無産婦人デーに際して」
・・・『群像』十二月号の創作月評座談会で、林房雄が、深刻ぶり、ということについて語っている気分、ポーズに、はっきりあらわれている。自己陶酔と独善にうるさい覚醒をもとめてやまない近代精神、理性へのよび声そのものが、この種類の作家たちには気にそまない・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・最近ヒットしたルポルタージュの選手三人の座談会で、著者は、いよいよとなったら身を売っても仕方がない、売るなら高く売ろうと思いましたと語っている。そこまでそういう言葉で語るひとが、宜川のソ同盟兵が人形の体に鉛筆でいたずらがきしたようなことを「・・・ 宮本百合子 「ことの真実」
・・・その形式が座談になっているのは、その席で礼を言えば済む。私信になっているのは、礼状を遣れば済む。公開書になっているのも、罵詈がしてあれば、棄て置いても好い。あるいは棄て置くのが最紳士らしいかも知れない。また先方にも過誤がある場合には、それを・・・ 森鴎外 「不苦心談」
出典:青空文庫