・・・丁度ソヴェト同盟では前年に第一次五ヵ年計画を完遂した結果、これまでのプロレタリア芸術理論を発展させるような社会条件がそなわって来て、従来の唯物弁証法的創作方法を、社会主義的リアリズムにおしすすめた。その社会主義的リアリズムの創作方法の理論は・・・ 宮本百合子 「解説(『風知草』)」
・・・溜飲はさがるかもしれないが弁証法的でないし、建設的でない。 大森義太郎氏の文学作品批評はきびきびしていても、そういう点でボルシェビキ的忍耐ある建設力を欠いているのだ。橋本英吉が『ナップ』へ三ヵ月ばかり批評を書き、個々の点では異論あるとし・・・ 宮本百合子 「こういう月評が欲しい」
・・・最も進歩的な階級の哲学である唯物弁証法の哲学に対して、日本で一時大流行をした西田哲学というものは一種の観念的哲学であり、自然と社会に対する進歩的な認識を助けるというよりも、それを混乱させる役割をもった。それが、西田哲学の歴史における性格であ・・・ 宮本百合子 「行為の価値」
・・・ 実際に職場のなかへ入って労働者の建設的な生活に混り、それを観察することによって、熱心なプロレタリア芸術家たちは、自分たちがまだ現実の複雑な姿をその根源にまで突入って形象化する弁証法的な手法を充分に獲得していないことをハッキリ自覚したの・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・プロレタリア文学の理論、創作方法の問題などが、若干直訳的であったことや、例えば弁証法的創作方法という提案の中には、世界観と創作方法との二つの問題が混同し同時的に提出されていたために、創作の現実にあたって作家を或る困惑に導いたような事実は、当・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・などが生れ、プロレタリア文学の理論は、当時国際的な革命的文学運動の課題となっていた唯物弁証法的創作方法の問題、世界観の問題、前衛の文学の問題などをとりあげた。 西欧の諸国では、彼らの文化が全体として市民社会の経験をもち、自身の発展の推移・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
・・・「創作方法における唯物弁証法」のスローガンの社会的実践によって導き出されて来た新しい労働者農民作家群の輩出、社会主義建設がすすむにつれて顕著なインテリゲンチア作家の階級的移行、有能な新幹部の多種多彩な文学的活動と、より広汎な人民層のプロレタ・・・ 宮本百合子 「社会主義リアリズムの問題について」
・・・難かしいことを云えば技術的に未だ未熟だし、田舎臭いところもありはするがトラムにはそう云う欠点を片端から克服して行くだけの唯物弁証法的な努力と正しいプロレタリア的素質がある。つまり現代の建設期のソヴェト青年男女が持っている階級的な強みが彼等の・・・ 宮本百合子 「ソヴェト「劇場労働青年」」
・・・ 生産に従事するソヴェト労働者、農民、一般勤労者の文化水準はめきめき盛りあがって来て、生産の実践から、唯物弁証法的創作方法が、一般芸術の方法とされて来た。 メイエルホリドは、彼の「劇場の再建設」といういくつかの演説をあつめたパンフレ・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・もしもコンミニズム文学が、曾て用いた弁証法的考察を赦すならば、新感覚派文学はコンミニズム文学よりも、より以上に明確な弁証法的発展段階の上に、位置していると云うことをも認めなければならないであろう。何故なら、コンミニズム文学は、文学としての発・・・ 横光利一 「新感覚派とコンミニズム文学」
出典:青空文庫