・・・ 消極の極で暮して来た、否暮させられて来た、日本婦人に対して、生きて弾む生命を持って居るこちらの婦人の価値は、種々な形成に於て或時は余りに過重され、又或時には余りに価値以下に観られて居ると思います。其がどちらの場合に於ても、ロング、エス・・・ 宮本百合子 「C先生への手紙」
・・・ バクー名所の一つである九世紀頃のアラビア人の防壁を見物して、磨滅した荒い石段々を弾む足どりでイラ草の茎を片手にもって降りて来たら、わきの共同便所の前から十一二歳の少年の一団がやって来る。見ると真中の一人が、便所へおとしたその糞だらけの・・・ 宮本百合子 「石油の都バクーへ」
・・・ 体育室からは、フットボールの弾む音がする。 あまりいきなり廊下の頭の上でジリリリッ! と開会を知らせるベルが鳴ったので、ニーナとナターシャはびっくりして互につかまり合い、やがて大笑いしながら、四五百人はいる大広間へ入って行った。〔・・・ 宮本百合子 「ソヴェト同盟の三月八日」
出典:青空文庫