・・・文学がジャーナリズム、出版企業に従属する面が多いから、戦争進行プラス企業の追随で益々低落した。劇壇の人々は自身の芸術的生涯と興行資本というものについて、どう考えるのだろうか。 手許にプログラムがなくて正確に云えないけれども、「プラー・・・ 宮本百合子 「俳優生活について」
・・・つよい電気の中心により弱いものが吸いつけられ、それに従属した形になるのは、家庭の生活の中では一層はっきりした事実である。偉い親父をもって、ひとに云うことも出来ぬ様々の苦痛を経験する息子や娘というものが、この社会にどの位いることであろう。まし・・・ 宮本百合子 「花のたより」
・・・しかし、過渡的にもせよ、こうして憲法が変ったことは、それにつれて民法、刑法の変更をもたらし、これまでの日本の婦人がおかれていた全く従属的な地位は高められました。このことは、私たちが公平にみとめてよいことだと思います。 ところが、こうして・・・ 宮本百合子 「婦人大会にお集りの皆様へ」
・・・もし、無智と従属とを意味する名辞として解釈するその時代の習俗に従えば、ゴーリキイは既に盲目な民衆の一員ではなくなっている。さりとて、当時の民衆派たちが、自身を解放の指導者、口火として、外部から民衆に接触して行った、そういう資格において彼を評・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・ 大体に、ものわかりのよさの本質は、発見の精神ではなくて適応の精神であり、創造への感情ではなくて、従属への感情である。ものわかりよさは、高い人間の明知とはちがった性質のものである。一方に深い質問を抱いてそれを追究して新しい何かの価値を人・・・ 宮本百合子 「ものわかりよさ」
・・・太古のあどけない平等は失われ、財産の主人である男の父権が確立して女子はそれに従属するものとなりはじめた。奴隷としてつれて来られた他氏族の者の中には勿論女も交っていて、それは女奴隷として労働させられ、男の所有ともなされた。この時代から女性は男・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫