正直言うと、私は、この雑誌から原稿書くよう言いつけられて、多少、困ったのである。応諾の御返事を、すぐには書けなかったのである。それは、私の虚傲からでは無いのである。全然、それと反対である。私は、この雑誌を、とりわけ卑俗なも・・・ 太宰治 「困惑の弁」
・・・茶会御出席に依り御心魂の新粧をも期し得べく、決してむだの事には無之、まずは欣然御応諾当然と心得申者に御座候。頓首。 ことしの夏、私は、このようなお手紙を、れいの黄村先生から、いただいたのである。黄村先生とは、どんな御人物であるか、それに・・・ 太宰治 「不審庵」
・・・「次に来るは応諾の時期である。誠ありと見抜く男の心を猶も確めん為め女、男に草々の課役をかける。剣の力、槍の力で遂ぐべき程の事柄であるは言うまでもない」クララは吾を透す大いなる眼を翻して第四はと問う。「第四の時期を Druerie と呼ぶ。武・・・ 夏目漱石 「幻影の盾」
出典:青空文庫