一 異性との間の友情の可能やその美しさなどについてより多くさまざまに思い描くのが常に女性であるということについて、私たちはどう考えたらいいのだろうか。 十五六歳のういういしい情感の上にそのさま・・・ 宮本百合子 「異性の友情」
・・・つまり理想をもち、憧れも持っていたけれども、最近の数年間の荒っぽい現実は、そういう主観的な角度から恋愛や結婚を思い描く甘さを青春の精神から奪ってしまった。今日の真面目な心は、その若さにもかかわらずイリュージョンの大半を失っている。自分が愛さ・・・ 宮本百合子 「人間の結婚」
・・・そんなに骨が折れるのは、まだ生れていもしない、従って人間としての性格も見当つけようもないような男の子という観念をめぐって、周囲の者がそれぞれの心で考えられるいろいろさまざまの社会生活の可能、ひろがりを思い描くから、変につかみどころなくむずか・・・ 宮本百合子 「若い母親」
出典:青空文庫