・・・「武麟さんがジャワで飛ばした『武田麟太郎鰐に食われて急逝す』というデマが、大阪まで伝わって来たというのは痛快だね」 雀百までおどりを忘れずだと私は笑った。 とにかく死ぬものかと思った。不死身の武麟さんではないか。 果して、武・・・ 織田作之助 「四月馬鹿」
・・・そして、見つけたのは「武田麟太郎三月卅一日朝急逝す」 死んでもいい人間が佃煮にするくらいいるのに、こんな人が死んでしまうなんて、一体どうしたことであろうか。東条英機のような人間が天皇を脅迫するくらいの権力を持ったり、人民を苦しめるだけの・・・ 織田作之助 「武田麟太郎追悼」
・・・ 彼のこのたびの急逝は、彼の哀しい最後の抗議の詩であった。 織田君! 君は、よくやった。 太宰治 「織田君の死」
・・・ そちらからのお手紙を待っていたことや、小野さんが急逝されたこと[自注19]やで、この手紙はいつも書く筈の時より大変におくれました。 その後、お体はいかがですか。ずっと順に恢復をつづけていらっしゃいますか。この間面会のときお話のあっ・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
出典:青空文庫