・・・その中で個々の性能をどんな方面に社会的に役立たすかという意味における個性尊重、どういう表現を通じて役立てて行くかという点における個性尊重というものは勿論十分各々行われている。アナキスティックな個性尊重というものは金持の坊ちゃんの存在しないと・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・平常着を小ざっぱりと趣味をもって、ということは心がけのよい女性たちの念願だと思うが、日本のこれ迄の暮しの感情では、女のふだん着は働き着と同じ性能におかれていて、僅に夕飯後ふだん着の上に羽織られた袢纏が、日本女性のつつましい休息の姿を語ってい・・・ 宮本百合子 「働くために」
・・・ それこそは、四年前に、批判の精神が自身の性能の本来なる力の放擲をあからさまにしたとき、その根源の理由として、従来文学に携って来た一部の知識人の最も深刻な歴史的な自己放棄・自己の存在価値への人間的確信の失墜が生じたからであると思う。当時・・・ 宮本百合子 「文学精神と批判精神」
・・・固定させて、それぞれの聴取目的の波長にやや合わせて、幾つかをきめて切り替えて行くスウィッチならば、相当の性能をもつということである。その他、絶縁体の質の問題とかもあるときいた。 一言にして云えば、全波が聴ける、という声、聴きたいという欲・・・ 宮本百合子 「みのりを豊かに」
・・・研究所へ着くなり栖方は新しい戦闘機の試験飛行に乗せられ、急直下するその途中で、機の性能計算を命ぜられたことがあった。すると、急にそのとき腹痛が起り、どうしても今日だけは赦して貰いたいと栖方は歎願した。軍では時日を変更することは出来ない。そこ・・・ 横光利一 「微笑」
出典:青空文庫