・・・その上僕の風変りな性格が、小学生時代から仲間の子供とちがって居たので、学校では一人だけ除け物にされ、いつも周囲から冷たい敵意で憎まれて居た。学校時代のことを考えると、今でも寒々とした悪感が走るほどである。その頃の生徒や教師に対して、一人一人・・・ 萩原朔太郎 「僕の孤独癖について」
・・・その後鶸の雌は余り大食するというので憎まれて無慈悲なる妹のためにその籠の中の共同国から追放せられた。またその後ジャガタラ雀が死んだので、亭主になりすまして居った前のキンパラは遂にキンカ鳥の雌に款を通じようとするので、後のキンパラと絶えず争い・・・ 正岡子規 「病牀苦語」
・・・お前は今まで憎まれ者だったな。さあこの薬を王様から下すったんだ。飲め。」 童子たちは叫びました。「それでは蠍さん。さよなら。早く薬をのんで下さい。それからさっきの約束ですよ。きっとですよ。さよなら。」 そして二人は一緒に稲妻のマ・・・ 宮沢賢治 「双子の星」
出典:青空文庫