・・・今は彼女たちも、ソヴェト権力に護られた婦人社会成員なのだ。二百八種もの民族語の新聞が刊行されるようになって来た。 僅か三パーセント位しかなかった小学校入学率は、全ソヴェト同盟の文化水準向上につれてドンドン多くなって来た。五ヵ年計画で八歳・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・その工場でウダールニクはどんな階級闘争の歴史をもって組織され、成員はどんな連中であるかを知らないで、そこの労働者クラブを飾る壁画、見るものを鼓舞するような絵は描けない。 芸術家と勤労者とは手にもっている道具の違うことについて新しい自覚を・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・しかも、外部的にそういう社会条件がなり立ったばかりでなく、そのように新しくなった社会の成員の感情の内部までも、新しい発展に立つようになったとき、はじめて、「アンナ・カレーニナ」は一つの社会によって卒業された文学と云えるのである。 ソヴェ・・・ 宮本百合子 「心に疼く欲求がある」
・・・は最後の網となって経済能力の弱い母の手から脱落しようとする子を社会の成員として受けとめるのである。 女の中に予期された母性の経済的独立を保証する為、離婚法は、女に職業能力がない場合、一年間生活保証すべき義務を夫に示している。 合法的・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・ 大戦前後、先ず高まった一般の購買力のあらわれの一面として自身を表現した読者たちは、あの時代にはやがてそのような景気のいい購買力を失っても猶続く自分たちの社会成員としての力を別様に表現して、日本の文学に新しい息ぶきをもたらす文学上の動き・・・ 宮本百合子 「今日の読者の性格」
・・・政府そのものの命脈を保つこと、その成員の姑息な差しかえ、G・H・Qとの汲々たる妥協策。今日猶まことに壮健である財閥の七変化的存在への助力。戦時利得税、財産税についての解説一つでも真面目に聴いたらば、人民は、曖昧な日本的薄笑いを口辺に浮べては・・・ 宮本百合子 「逆立ちの公・私」
・・・しかし、この問題もいろいろ興味があって、人類社会のプロセスの一つとして、ある一つの社会成員が、ワンダ・ワシリェフスカヤの「虹」のような生存防衛の意識に、自発的に結集し得るようになった歴史の段階は、やはり一つの新しい一歩です。ソヴェトの防衛と・・・ 宮本百合子 「質問へのお答え」
・・・ まして、わが作家同盟が、その成員と活動の歴史性により過渡的制約性として、現在まだ少なからず小市民性的要素を包括している場合、その小市民性こそが困難な闘争に際して「左」右両翼への偏向を生む社会的要因である場合、われわれの警戒と努力とは、・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・ 現在いろいろな成員をもっているサークルの、どこかで流通のとどこおっている空気のまま、岩上順一が座談会で力をこめて云っているように労働者として「一番大事なもの、闘争なら闘争の一番進んでゆく道」を記録としてかくように「意識的に」サークルを・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
・・・社会的成員の条件の一つのように見られるのかもしれない。そして、それはそれでいいのだと思う。 けれども、常識というものが社会の歴史の推移のままにそういう風に動いて変って行く時、その常識の内からよりましな人間としての生活を女も男も希望してさ・・・ 宮本百合子 「働く婦人の新しい年」
出典:青空文庫