・・・その一方、戦犯被告と捕虜に対する残虐行為の裁判は続行されています。この面こそ強調されるべきです。 歴史はくりかえすものではありません。全く同一の現象が、同一の内容でくりかえされることは歴史上ないことです。まして、歴史は決してそのままのく・・・ 宮本百合子 「新しい卒業生の皆さんへ」
・・・、復員軍人、旧戦犯、悪質の「民同」がうようよしていて、「高度武装」たる計画的な犯罪の挑発、捏造事件で人民の民主化を抑圧するために活躍している。 世界の民主主義者、良心ある人々が、国際ファシズムの一つの動きとして、MRAを批判していること・・・ 宮本百合子 「再武装するのはなにか」
・・・ これらの戦犯的分子がまた再びわれわれの生活へまぎれ込んで来たことについて抗議したことは、投書のようにあしたになると友達に話すこともできず「一つ一つと逃げてゆく」話の内容といえるものだろうか。勤労人民の政治的文化的発言の一つのかたちとし・・・ 宮本百合子 「事実にたって」
・・・ 出版面における戦犯出版社の問題も不徹底に終りました。彼らのこしらえた自由出版協会に参加している戦犯的な出版社はむしろ用紙割当の上位をしめているありさまです。 文学作品との直接のつながりから見ますと、今年の一月ころから三月ころまでの・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・財界の特需景気と警察予備隊景気、戦争気分をそそるレッド・パージとそれに対蹠する戦犯一万九百人の解放。われわれ日本の人民は、事実をどう語っていいのか、不安におかれはじめた。 平和の問題こそ、いまの日本の運命にとって、中心課題である。みんな・・・ 宮本百合子 「戦争はわたしたちからすべてを奪う」
・・・一九四五年八月が来てその土地の憲兵隊が敗退してひきあげるとき彼等は郁達夫に日本語がわかり、彼等の侵略行動の目撃者、戦犯の証人であるということを恐怖した。彼等は郁達夫を殺した。 郁達夫の物語は、わたしたちにジャンバルジャンを思い出させ、レ・・・ 宮本百合子 「それらの国々でも」
○一昨年十二月二十五日 新日本文学主催の文学者のファシズム反対講演会東條 処刑A級戦犯 釈放「安部源基」 1931年 満州侵略がはじまったころ、大泉、小畑をつかっていた男。児玉よしを 台湾への□(二、・・・ 宮本百合子 「東大での話の原稿」
・・・なかでも弱い女の蒙っている打撃の致命的な深刻さを痛切に理解し、一刻も早い適切な処置を思うなら、戦犯で潰れた反動政党へ、どうして女が入られよう。家庭を奪い、愛する男たちを殺し、傷け、今日の日本をもたらした、その戦犯の仲間に、女である、という唯・・・ 宮本百合子 「人間の道義」
・・・ 日本の戦犯は、決して東京裁判で近く判決をうけようとしている被告たちだけのことではない。東京裁判という国際的なスポット・ライトに照らされた場面に人の目が集められているこの数年間に、その舞台のかげでさまざまの方法で旧勢力を挽回しようとつと・・・ 宮本百合子 「便乗の図絵」
・・・といった十二月二十三日の次の日、わたしたちはA級戦犯容疑者十七名が釈放された記事と写真とをみました。 釈放された人のなかに、安倍源基という名があります。昭和のはじめ、日本の天皇制が侵略戦争をはじめたにつれて、治安維持法がしだいに殺人的な・・・ 宮本百合子 「ファシズムは生きている」
出典:青空文庫