・・・ ここにも一つプロレタリア文学の誤った手本が出ている。この『職場にて』は、成程機械力が描かれている。機械の統制ある活動の美しさ、歓び、音響、一分間に何本の木材を切断するかという速力についても書かれている。しかし、これだけなら構成派の作家がも・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・作家たちは、日本の今日の階級社会の生活が現実として彼らにも与えている苦悩、不安、社会的根源をついてそれを芸術化し、作家としての彼らの生活までを改革の方向に向わせるような実践的な努力はせず、不安の文学の手本をフランスに求めた。そして、かつて動・・・ 宮本百合子 「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」
・・・これまで一部の人の手本としてもちまわられた外国文学は、きょうまた商業主義出版で歪められている。バルザックについての評論、ノートその他は、たとえ完全なものでないにしろ、『歌声よ おこれ』にはいっていたものが大体この本にとりいれられたについては・・・ 宮本百合子 「はしがき(『文芸評論集』)」
・・・ 手本の紙には、沢山の窓と優美な飾のついた二階建の家の正面が画いてある。ゴーリキイは「本当の仕事と修業の始ったのを悦び」すぐ手を洗って修業にとりかかった。定規をつかってすべての水平線を引いたところまでは上出来であった。ところが縦に垂直線・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
出典:青空文庫