・・・ 空想的な扮装したレヴューの土人みたいな「赤紫島」の住民が何かのキッカケで、至極安直に革命を遂行し、ツァーの追っ払いをやり、目出度し目出度しとなるのだが、ソヴェト同盟のルバーシカを着た観衆はゾロゾロ、カーメルヌイ劇場から出て来ながら、こ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・今日過去の私小説を否定するものとして、社会的な客観小説が提唱されているが、この文学に従来の近代的扮装に身をかくした戯作者風な無批判な行動の追跡に代る真に大衆的と言われるべき内容を与えて行くこと一つでもプロレタリア文学の作品が求められている責・・・ 宮本百合子 「今日の文学の鳥瞰図」
・・・女優がパリの流行雑誌まるうつしの扮装でマネキンみたいに舞台をのたつく悪習をもつと云われている諷刺劇場なんか六十パーセントだ。 ソヴェトの劇場は、今までいつも一つ大きな困難をもって来た。劇場建築が旧式で小さいということだ。昔はそれでもよ・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・、澄子その他が麻雀をして遊んでいると、その遊戯を知らない何とか君という、ひどく太い眉毛の若者が傍のソファで仮睡をし、夢で女賊マジャーンに出会するという筋なのだが――マジャーンが、スワンソンの蜂雀通りの扮装でスクリーンの上に蜂雀通りの順序で現・・・ 宮本百合子 「茶色っぽい町」
・・・を見ているうちに私の心をうったのは、そんな名優とか大俳優とか一生云われることのない俳優たちが、どんなに熱心に科白を云い、扮装をし、舞台に一つの創造の世界を実現させて行こうと努力しているか、ということの感動であった。更に、その感動に加えて、そ・・・ 宮本百合子 「俳優生活について」
・・・などを見ても、読者が大仏氏に牽かれるのは、この作者のこの作者らしい人生観照の或る気分、現代のインテリゲンツィアの一部の人々がよかれあしかれ実際にもっており、或は扮装としてポーズしている知的情感的な或る気分の、文学的表現の味に魅力を感じている・・・ 宮本百合子 「山本有三氏の境地」
・・・といわれているもののロマンティックな扮装については自分の内の矛盾として見きわめようとしていない態度を、今日の青年もやはり彼らの夢を育ててくれる女性としてよろこびをもって見得る心理なのだろうか。 私は率直にいって大迫さんのように悧溌な娘さ・・・ 宮本百合子 「若い婦人の著書二つ」
出典:青空文庫