・・・何日か経ったら、級の担任の女先生から、生徒一同が叱られた。この頃、誰の真似だか知りませんが、変にずるずると髪をまいたり、大きいたすきをかけたりなさる方があるようですが、みっともないからおやめなさい。 少くとも一つだけの愉しみは学校にも在・・・ 宮本百合子 「時代と人々」
・・・そしたら担任の女先生が、一時間目の授業が終るとすぐ、一寸のこっていらっしゃいといわれ、皆が列をつくって庭に出て行ってしまったあとのがらんとした教室の教壇の下で、髪についていわれた。誰もそんな髪はしていませんよ、大変目立つ髪ですね。あんな目立・・・ 宮本百合子 「青春」
・・・ ところが或る日、担任の先生から、「近頃、誰の真似だか知らないが、いやに幅の広い襷をかけたり、髪をゆるく落ちそうに巻いたりする人があるが、よろしくない」と云う意味の小言を云われた。皆の心には、ぴんと、響くものがあった。 ・・・ 宮本百合子 「弟子の心」
・・・貴族は武力を統帥し、僧侶は貴族階級のイデオローグとして最高の文化活動を担任していた。だからラテン語で書かれたその頃の文学は、どんな馬子によっても書かれなかった。ただ僧侶のものだった。当時は文盲の王があり貴族があった。 日本の現在までの婦・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
出典:青空文庫