･･･ 詩人だったひとは、持病があったところへ肺病がだんだんわるくなって遂に生きられなかったのですが、動坂のおばさんだったひとやそのほかの友達たちが最後まで想像されないほどの親切をつくしました。死ぬ二、三日前に撮った写真では、タオル寝間着――･･･ 宮本百合子 「獄中への手紙」
･･･母は一九三四年六月十三日に持病糖尿病から肺エソになって没した。後、母の残した日記を集めて「葭の影」という一冊をこしらえた。一九三五年四月十八日、父の第六十八回目の誕生日に、私が父を気に入りの浜作に招き、その席で「葭の影」という題名を父が思い･･･ 宮本百合子 「中條精一郎の「家信抄」まえがきおよび註」
･･･ 既に知られている通り、ゴーリキイは一九二三年にレーニンにすすめられて、イタリーへ持病の肺療法に行った。その時分ゴーリキイは回想の中にも書いている通り、当時のソヴェト同盟の政策に全部的な同感を持つことが出来ず、急進的なインテリゲンツィア･･･ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイによって描かれた婦人」
･･･ 知られているとおりにゴーリキイは一九二三年にその頃まだ生きていたレーニンのすすめによって、持病の肺病の療養のためにイタリーへ行ってそこで暮らしていた。 五年ぶりでゴーリキイがソヴェトへ帰ってくる。このことはソヴェト同盟の大衆にとっ･･･ 宮本百合子 「私の会ったゴーリキイ」
･･･先方は持病の起ったように、調子附いて来た。「しかし、君、ルウズウェルトの方々で遣っている演説を読んでいるだろうね。あの先生が口で言っているように行けば、政治も一時だけの物ではない。一国ばかりの物ではない。あれを一層高尚にすれば、政治が大芸術･･･ 森鴎外 「あそび」
･･･ 敵討の一行が立った跡で、故人三右衛門の未亡人は、里方桜井須磨右衛門の家で持病の直るのを待った。暫くすると難儀に遭ってから時が立ったのと、四方が静になったのとのために、頭痛が余程軽くなった。実弟須磨右衛門は親切にはしてくれるが、世話･･･ 森鴎外 「護持院原の敵討」
出典：青空文庫
