・・・少なくとも鎖港排外の空気で二百年も麻酔したあげく突然西洋文化の刺戟に跳ね上ったぐらい強烈な影響は有史以来まだ受けていなかったと云うのが適当でしょう。日本の開化はあの時から急劇に曲折し始めたのであります。また曲折しなければならないほどの衝動を・・・ 夏目漱石 「現代日本の開化」
・・・三十年間にうけた抑圧との闘いによってプロレタリアとして目覚めた一移民労働者が、今や彼の賃金を百ドルから七十ドルに切り下げる恐慌に対して、利害の衝突する二つの資本主義国家間の泥仕合的排外主義に対し、ピオニイルの養成にも熱誠を示すというようなの・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・ 文学が貧困化して来るにつれ、文壇というものは僅なものの売食いで命をつないでいる生活者のように排外的になり、その壁の中へ参加する機会をつかむためには、女までをくわなければならないような事態になった。 そういう文壇というものが、作家生・・・ 宮本百合子 「文学の大衆化論について」
出典:青空文庫