・・・その方法、この悲劇の社会的な原因を排除するのではなしに、かえってそれを掩護し、不合理の率直な告訴人となれないで、心ならずもそのかかしとしてつかわれながら。 これも一つの日本の悲劇であったと思う。あの事件に関して暴力をきびしく非難したのが・・・ 宮本百合子 「権力の悲劇」
・・・ゴロツキ新聞の排除、用紙配給の是正、購読者の要求への即応という掘割をとおって、戦後の小新聞は、民主的な性格のものをふくめて、大企業新聞に吸収された。そして、一九四九年の秋の新聞週間には「新聞のゆくところ自由あり」と、記者たち自身にとってもけ・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・日本人民の解放は、社会的な公私の逆立ちという、不自然な状態の排除から出発すると云っても、云いすぎではないであろう。〔一九四六年二・三月〕 宮本百合子 「逆立ちの公・私」
・・・ソヴェトが一九一七年から十二年の星霜を経て、その深刻な根本的改変と建設との成果に立って、社会主義生産の段階に到達し、生産の全面と文化の全部門から利潤追求の企業性を排除しえたとき、国内的に勤労階級と有識人階級との対立、貧農と富農との対立が消え・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
・・・出版綱領実践委員会が、極端なエロ・グロ出版排除の運動に着手したことは、原則としてうなずける。ところが、この健全文化のための大衆活動は、忽ち警戒しなければならない重大な問題に面した。エロ・グロ出版の排除という、誰も非難しようのないいとぐちによ・・・ 宮本百合子 「三年たった今日」
・・・まして、きょうの新聞によると、日本には西ドイツと同じように、経済集中排除法を緩和して資本家の復活を可能にしようという案が示されている。「極東委員会の、ソヴィエト、中国、フィリッピン等の各国代表から猛烈な反対を受けることは十分承知し」なが・・・ 宮本百合子 「正義の花の環」
・・・、少数者の利益のためにでっちあげられる戦争に反対を声明し、日本の人々をこめる世界の人民の平和を護ろうとするならば、こんにちの日本の現実において、もっとも発端的な人権に加えられているでっちあげを徹底的に排除しなければうそであると思う。 三・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・そういう社会的な人間操持の一つの表現として貞潔を理解する男女は、人間として当然な各自の貞潔を破壊させるすべての社会の悪条件を排除しなければならないと切実に考える。愛を貫徹する自由こそ基本的人権の最も人間らしい要素の一つなのである。〔一九四六・・・ 宮本百合子 「貞操について」
・・・社会の一般文化の現実が比較的貧寒であって、科学の諸分野そのものの到達点、そのものの理解、利用面が十分柔軟寛闊に開拓されておらず、同時に所謂科学というものが、旧式の考えかたで、そこに作用する人間性を全く排除しているため、勢い科学と文学との手近・・・ 宮本百合子 「文学のひろがり」
・・・ 今日、民主日本の甦りのために、あらゆる人々が、民主戦線に結集して、封建性と反動性とを排除するために闘うということは、真心からなる一個の救国運動である。一党派の問題でもなければ、ましてや、時節柄という形容詞をつけられるような種類のことで・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫