・・・ しかし、新しい日本の社会の健全な発展のために、婦人局があったらよかろうと提案した人々の考えは、「女も国民として」の心持という抽象の観念ではなくて、そういう女性一般の心持が具体的に表現され活用されてゆく過程で、社会的により進歩した形とし・・・ 宮本百合子 「女性の現実」
・・・しかし、そのとりあげられかたは一種独特な色調を帯びていて、例えば、『文学界』の同人達によって喧しく提案された文壇否定、従来の意味での職業的文壇的作家の否定、文学の大衆化の声は、不思議にも常に今日の民衆がおかれている文化の貧困と水準の低さとを・・・ 宮本百合子 「全体主義への吟味」
・・・これは、複雑な問題をふくむ提議だ。提案は研究され、生産場面との結合は大切であるが作家を産業別にグループわけすることは、文学活動を固定させる危険があるから適当でないと結論された。ソヴェト作家はこの時期に別に一つの意義ある進歩をした。プロレタリ・・・ 宮本百合子 「ソヴェト文壇の現状」
・・・の現状についてという報告ならびに提案があった。提案の主旨は日本の人民的な民主主義革命を達成する主導力は、労働者階級であるという点から出発した。一九四八年二月の新日本文学をみると徳永直は「勤労者文学をもっと前におし出すこと」という表題で、みじ・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
・・・こうして、人民戦線の提唱のとき、もう近代の民主的主張をひっこめて、非政治的に、非社会的にそれを提案した日本の一部のインテリゲンツィアは、その後ひきつづく人間復興という文化上の提唱でも、全く骨ぬきの、口先弁巧に陥らないわけにはゆかなかった。何・・・ 宮本百合子 「誰のために」
・・・、考えた末、もしや、そこならば、落着いてそういう種類のものの持つ、文化的な意味も理解されるかと思って、私がこれ迄十二年の間に、獄中の宮本へ送った手紙を、少し系統だてて年代順に載せてみたらばどうかしらと提案した。編輯に当っている人は、興味をも・・・ 宮本百合子 「「どう考えるか」に就て」
・・・ さっき藤森さんが提案されたように、この大会を機会に世界の民主的文学団体へ向って私たちのメッセージを送るということは、この日本独特であって、しかも世界に連なった平和と民主主義文学運動の実際を知り合うために大変いいことだと思います。・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
・・・もしアメリカがソヴェト同盟の平和提案をうけいれるなら、会社の高利潤は終りになるだろう、と。 われわれは、人間が理性ある者であることを信じるかぎり、人間が人間と生きるためには、平和が必要だという明白な真実を表白しつづけなければならない。〔・・・ 宮本百合子 「「人間関係方面の成果」」
・・・ドイツ代表としてそこに出席していたクララ・ツェトキンの提案で、三月八日という日を国際婦人デーとすることに決議された。二十三ヵ国から八百九十名の代表が出席したこの大会できめられた国際婦人デーは、その後多くの国々で毎年行われて来た。一九一七年の・・・ 宮本百合子 「婦人デーとひな祭」
・・・を大衆にも分る書きかた、云いかたで作ってゆこうと提案している人々がある。これらの人々の考えかたの特徴は、作家の大衆に対する文化的指導性を自身の社会性についての省察ぬきに自認している点、及び、所謂俚耳に入り易き表現ということを、便宜的に大衆的・・・ 宮本百合子 「文学の大衆化論について」
出典:青空文庫