・・・市民たちも、摂政宮殿下が御安全でいらせられるということは早く一日中に拝聞して、まず御安神申し上げましたが、日光の田母沢の御用邸に御滞在中の 両陛下の御安否が分りません。それで二日の午前に、まず第一に陸軍から、大橋特務曹長操縦、林少尉同乗で、・・・ 鈴木三重吉 「大震火災記」
・・・上は摂政関白武将より下は士農工商あらゆる階級の間に行なわれ、これらの人々の社会人としての活動生活の侶伴となってそれを助け導いて来たと思われる。風雅の心のない武将は人を御することも下手であり、風雅の道を解しない商人はおそらく金もうけも充分でな・・・ 寺田寅彦 「俳諧の本質的概論」
・・・だから数万の人々はこの正月に明治神宮を参拝して、摂政宮殿下の万歳を叫び、或いは安泰を祈り、それでもって右のような心持ちを表現した。 警衛ということはそういうわけで実現ができない。それでは街頭の宣伝はどうであろうか。これまで人前で演説など・・・ 和辻哲郎 「蝸牛の角」
出典:青空文庫