・・・憲法改正は現吉田内閣の宿題の一つでした。吉田内閣がいくらかでも、民主的な要素の加わった憲法を制定して、自分達の政治の方向が民主的であるかのようにポーズすること、これは保守的な内閣にとってかくことのできない一つの仕事でした。憲法審議のための委・・・ 宮本百合子 「今度の選挙と婦人」
・・・ 女戸主 選挙法の改正のことは、急に実現されないことになった模様である。 戸主という者が資格として語られはじめたとき、私たちの女の心に閃いたのは、女の戸主はどうなるのだろう、という事実であった。あちこちの新・・・ 宮本百合子 「今日の耳目」
・・・政府は一方において労働法の改悪、公務員法案の改正、軽犯罪法の制定、教育の民主化をあやうくする教育委員会法案などをすすめている。これらすべては政権の買弁的性質の増大とともに一般の批判にさらされる立場におかれている。日本の人民は今日においてはじ・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・経済・政治の専門家が条約改正のために尽瘁し、ちょん髷を剪らせ、廃藩を行った、そのことが文化の面では、長いものには巻かれろ式な戯作文学の伝統と近代精神との入りくんだ摩擦に導いたのである。 社会的現実の各面に、今日この摩擦がより発展した形に・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・ 先の教科書では、洋服を着、靴をはいて画かれていた小学生の姿が、改正されたものでは、和服で藁草履をはいている。これは何故であろうか? ある人はこれを説明して、「もとの絵は都会の生活を主にして画かれていた。あれを見て、農民はいたずらに虚栄心を・・・ 宮本百合子 「今日の文化の諸問題」
・・・民法が改正されただけで生活感情の伝統の相剋はなくなると思うものはない。日本の財閥が外見上解体されたとして、どうして徒弟制が絶滅したといえよう。バイブルに、男女は差別ある賃銀を、と書いてはなかろうが、カソリック教徒である日本の文相は、それらを・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
・・・エロ・グロ出版の排除という、誰も非難しようのないいとぐちによって、時事新報が誤って報道したように、万一その委員会が、刑法改正請願というような逸脱行為に導かれれば、それはとりもなおさず外見は民間の声というファシズムの手のひらで、民主的発言の口・・・ 宮本百合子 「三年たった今日」
・・・民法が改正されて、結婚の自由も、財産に対する権利も、母親の親権も増大しました。しかし文字の上での権利が増大したとしても、自由が与えられたとしても、結婚して一家を持ってゆくだけの収入が若い二人に確保されていない時、住むに家のないとき、親たちの・・・ 宮本百合子 「自覚について」
・・・ 憲法や民法が改正されたについて、この頃はよく家族の問題が出ます。婦人にとっての家族問題――私、女でございますから大変直接なのですが――結婚の問題、親子の関係は、いろいろ複雑な問題を起します。例えば夏目漱石の小説ですが、その主人公は・・・ 宮本百合子 「社会と人間の成長」
・・・文学の発展にはそれにふさわしい社会的な基盤が必要であり、勤労階級の生活の安定の要求は全くぴったりと私たちの人間らしい文化の要求と一体のものであるという事実である。改正された憲法は男女を平等としている。しかし現実の生活で男女の労働賃金は同一で・・・ 宮本百合子 「女性の歴史」
出典:青空文庫