・・・、堯舜禹の實在的人物に非ざるべき卑見を述べてより已に三年、しかもこの大膽なる臆説は多くの儒家よりは一笑に附せられしが、林〔泰輔〕氏の篤學眞摯なる、前に『東洋哲學』に、近く『東亞研究』に、高説を披瀝して教示せらるゝ所ありき。 茲に今林氏の・・・ 白鳥庫吉 「『尚書』の高等批評」
・・・あの夜は、この温情家たる僕に、ひとつの明確な酷点を教示した。君のゆるせなかったもの、それは僕の酷点のひとつに相違ない。『われ、太陽の如く生きん。』僕の足もとに膝まずいて、君が許せないと感じたものを白状して御覧。君は、そういう場合、まるで非芸・・・ 太宰治 「虚構の春」
・・・短時間の滞在だから永山氏に大体観るべきところの教示を受けたいと、昨日電話して置いたのだ。紹介状には、私共二人の名が連ねてある。ところが、Y、昨晩床に入る時、大分工合を悪がった。天然痘流行の為、私達は念の為大分の臼杵で種痘をした。Y、十四位の・・・ 宮本百合子 「長崎の一瞥」
・・・筆者は、わる丁寧な言葉で、御教示を仰ぎたいとか何とか文学的修辞を並べているが、無用なことだ。 第一、プロレタリア文学の世界的陣営で、芸術創作上の弁証法的方法の問題が、どの位熱心に、誠意をもって討究されているか。作品中に具体化されているか・・・ 宮本百合子 「反動ジャーナリズムのチェーン・ストア」
・・・それは美学者にとってよき反省の機会を与えるとともに、美術家にとっても力強い教示となるであろう。 岸田君の暗示に富んだ無数の観察を一々紹介することは容易でない。が、美術家としての岸田君の理想・信念は、君の生活の根本の力であり、また美術・・・ 和辻哲郎 「『劉生画集及芸術観』について」
出典:青空文庫