・・・極度に敬虔なるべき者に対して私は極度に軽率にふるまいました。羞ずかしいどころではありません。 私はこの事によって自分のもっと重大ないろいろな欠点を示唆されたように思いました。二 私は自分のイゴイズムと戦っています。イゴイ・・・ 和辻哲郎 「ある思想家の手紙」
・・・しかもこの際彼らの意識に上る唯一のものは、三宝を尊奉するという漠然たる敬虔の念であったに相違ない。彼らの知っているのは、ただ新しく彼らに襲来した「仏教」がかくのごとき信仰を彼らにもたらした、ということだけだからである。かくて彼らはその感動の・・・ 和辻哲郎 「偶像崇拝の心理」
・・・それを心得ていないのは千人に一人か百人に一人の理想家や敬虔家だけであった。現在でももちろん同様である。ただ多くの人は露骨にそれを発表するのを好まない。――そこを自然主義は露骨でもって刺激した。そうしてこの主義がいかにも重大な意義を持っている・・・ 和辻哲郎 「「自然」を深めよ」
・・・我々は不断に我々の生活の上にかかっている運命に対してこの一瞬間のために、敬虔な疲れない眼を見はっていなくてはならぬ。一つの不幸も必ず何事かを暗示するに相違ない。それは呪わるべきものではなくて、愛せらるべきものである。 で、私は思った。い・・・ 和辻哲郎 「停車場で感じたこと」
出典:青空文庫